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6) 治療
新結核対策プログラム(NNP)では2種のレジメンを採用していた。つまり初回例に対する3SHZ/6H2S2、および再治療例に対する3RHE/6R2E2H2である。これに対して1989年以来オランダの供与によるRFPを周いた短期療法が採用され始めた。
レジメンは初回治療に対する2SRHZ/6HEおよび再治療に対する2SRHZE/1HRZE/5R3H3E3である。
治療は原則として外来治療である。ただしこの国にはかなりの結核病床があり、統計数字は得られなかったが、かなりの患者が入院治療を受けているものと考えられる。
とくに短期治療群では強化期間は入院させる場合が多いようであった。
抗結核薬の投薬は診断を受けた毎月1回郡病院外来で行われるのが普通である。SMの注射はコミューンヘルスポストで行われる。例外的にいくつかのヘルスポストでは一定の研修の後に短期治療の投薬も行っている(なにがしかのインセンティブがある由)。
郡病院は毎月定まった日に患者の追跡(診察・投薬)を実施する。喀痰検査は毎月2検体づつを原則とする。患者個人票の上では9ヶ月後治療成績を治癒・失敗・終了・死亡・脱落・転出に分類して記載する。患者登録のための患者個人票の他にIUATLD方式の台帳も用いられている。これらの業務は概ねたいへんきちんと管理されていた。コミューンレベルでは、不規則な患者の指導・家庭訪問などを行う。場合によって投薬を行っているところもある。
治療開始時、南部のある郡病院では規則的な治療に対する患者/家族の誓約書をとりつけていたが、患者の署名はその他にも受診時、要員の家庭訪問時などにも使われ(治療カードになされる)、要員の服務状況の証拠となるのか、それとも患者の自己関与のためなのか、いずれにしても興味深いことであった。同行のDr Hongによれば韓国でもかつて結核要員が家庭訪問をしたらカードに患者の捺印を受けることとなっていた由、ある要員の机の中には患者の姓の印鑑がゴロゴロしていたとのことである。

 

治療成績は以下のようになっていた。
NNPが始めた新しい標準治療レジメンでの成績は;治癒率約65%、塗抹検査をしなかった者を全員治癒と仮定しても治癒率は70%〜75%に留まっている。これに再発を加えると成功率は相当低くなってしまう。
短期療法は1989年当時は新発生塗抹陽性患者の715人、2.6%に用いられていたに過ぎないが1990年には1,831人、6%に用いられるようになり、その後も順調に増大している。1989年初頭から短期療法が全国で最初は試験的に、そ

 

 

 

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